声のチェンジについて解説

地声で歌いはじめた曲の音程が高くなって来て、「ある音程のときに突然、声が切り替わった」という経験がありませんか? このように地声から裏声に切り替わるポイントを「換声点(かんせいてん)」と言いますが、その音程は人によってそれぞれ異なり、ごく稀に地声と裏声にほとんど変化がないという人もいるようです。一般的に男性は「E4」、女性は「A4」あたりで切り替わることが多いようです。

地声で出せる最高音が「換声点」と言えますが、それはイコール、声の出し方を【チェンジ】すべきポイントなのです。

一般に私たちが地声と呼んでいる声は、「チェストボイス」のことを指します。(リンク【声の種類】をご参照ください)
チェストボイスは、(1)声帯がピッタリくっついている感覚がある (2)息が漏れなく声に変わる (3)声帯ユニットが大きく振動している ために、強く・太い声になります。

ところが、声帯ユニットが大きく振動している状態で音程が高くなると、すぐに限界に達してしまいます。チェストボイスを出す際には声帯を引っ張ってテンションをかけますが、これ以上声帯を引っ張れない、テンションをかけて音程を高くできない、という物理的な限界ポイントがあって、これを「換声点」と呼ぶのです。

それでは、どうすれば地声から裏声へとスムーズに切り替えられるのでしょうか?しっかり【チェンジ】させるための方法をご説明しましょう。

ここでは「チェストボイス」から「ヘッドボイス」への切り替えを例にお話します。

まず、チェストボイスの際の振動パターンをやや厚めにキープ。息圧を高めにしてフレーズ中のチェストの最高音を出してみます。そしてヘッドボイスへの切り替え時には、振動パターンを一気に薄く・軽く・小さく。「ひっくり返す(=チェンジ)」という表現がぴったり来るような声門閉鎖を行います。

このときに一瞬だけ「声門を開く」感覚をもつと、ひときわ【チェンジ】を際立たせることができます。頭に響かせるイメージで、ヘッドボイスをしっかりと鳴らしてみましょう。実際に音が響くポジションは口の中(口腔)と鼻の中(鼻腔)なのですが、レーザー光線が頭の中を突き抜けて行くような感覚で声を出してみてください。

反対に、ヘッドからチェストに落ちた場面を際立たせたい時は、ヘッドボイスで軽くなった声の重さを取り戻すようなイメージをもつと良いでしょう。しっかりと息の圧力をかけて声帯のユニットを大きく・豊かに振動させることを意識してください。このとき同時にぴったりと声門閉鎖できれば、チェスト(胸郭)の振動まで体感できるはずですよ。

Pocket

サブコンテンツ

このページの先頭へ