ミックスボイス 「ひっくり返らないで、強く歌うには」

地声で歌っていた曲がだんだん高い音になると、声がひっくり返りそうになる…。そんなときでも裏声にならず強い声で歌い続けるために、ぜひ【ミックスボイス】の技術を身につけましょう。【ミックスボイス】とは、地声と裏声が切り替わる「換声点」と言われる部分をなくして、スムーズにつながった声のこと。低~中音域を歌うときから【ミックスボイス】を意識することがポイントです。【ミックスボイス】は、「地声に裏声を混ぜてソフトに歌う」という意味ではありません。「音程の高低にあわせて声帯の振動パターンをスムーズに変える」ことが大切になるのです。

低~中音域を歌うとき、たとえ低い声を出す場合でも声帯を伸長させると、しなやかで豊かに響く歌声になります。やがて曲の音程が中~高音域へ上がるにつれて、声帯のある「喉頭」まで上げてしまう人が少なくありませんが、それでは声帯が詰まり「喉が締まった」発声になってしまいます。曲の音程にあわせて「喉頭」を上げずに、声帯の振動パターンを小さくすることを意識してみると、音色はそのままに無段階で音程を切り替えて行くことができますよ。

このとき声帯の振動パターンを
厚めに・小さく振動させると→「チェスト」の響きをもつミックスボイスに。
薄めに・長めに振動させると→「ヘッド」の響きをもつミックスボイスに。

さまざまな場面にあわせてミックスボイスをアレンジするためには、「リップロール」と「タングトリル」によるエクササイズがおすすめ。次の5つのことを目標にして取り組んでみましょう。

(1)声が出る必要最低限の息の量を把握する
(2)音色を決める
(3)声帯にかかる息の圧力を均一にする
(4)筋肉群のトレーニング
(5)リラックス

これらを実践して行くことで、声帯をコントロールする技術が飛躍的に向上するはずです。

個性豊かなアーティストたちが歌うロックやポップスの楽曲では、それぞれに求められる声質が異なるもの。決して「正しく歌う方法」が確立されているわけではありません。ただし、「発声のメカニズム」はしっかりと確立されていて、その理論は時代とともに進化を続けています。ここでご紹介した【ミックスボイス】もそうしたメカニズムの一つであり、歌が上手な人が必ず身につけているスキルなのです。

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